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鈴木 拓*; 高野 秀和*; 竹内 晃久*; 上杉 健太朗*; 朝岡 秀人; 鈴木 芳生*
X線分析の進歩,36, p.249 - 257, 2005/03
磁性材料・機能性材料が持つ物性と、サブナノから十数ナノメートルオーダーのドメイン構造との相関を調べることを目的とし、回折speckle像観察法の開発を目指して実験を行った。試料にはYBaCuOのas-grown単結晶試料とO雰囲気下アニーリング単結晶試料を用いた。(006)反射スポットをCCDカメラで撮影した。液体窒素吹き付け冷却により、RTから86Kの範囲で実験を行った。RTではドメイン構造があまり観察されなかったが、冷却に従ってドメイン構造が強くなり、配列はランダム状を示した。超伝導転移点付近で配列は急に整列に向かい、超伝導状態では強いドメインが整列している様子が観察された。本法は現時点では未だ技術的課題を多く残すが、ドメイン構造に関する情報を得ることが可能なため、機能性材料の開発研究に対し、有意な情報をもたらすと思われる。
佐藤 浩行*; 石川 法人; 岩瀬 彰宏; 知見 康弘; 橋本 健男*; 道上 修*
Physica C, 378-381(Part1), p.527 - 530, 2002/10
酸化物超伝導体は、高エネルギーイオン照射による高密度電子励起により、その軌跡に沿って柱状欠陥を生成する。今回は、酸素量を変えたEuBaCuO(y=7, y=6)に200MeV Auイオンを室温で照射し、その後熱処理を行った。照射後の試料を酸素雰囲気中で熱処理(550)することで、c軸の格子定数は完全に回復した。ここで、生成された柱状欠陥は、熱処理では回復しないと思われる。したがって、ピニングセンターとしての柱状欠陥を残しつつ、超伝導性を回復することができるものと思われる。このように、柱状欠陥の質や数を、照射と照射後のアニールを組み合わせることにより制御することができる。
馬場 信一; 石原 正博; 鈴木 世志夫*; 高橋 常夫*; 星屋 泰二
JAERI-Data/Code 2002-008, 126 Pages, 2002/03
高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた高温工学に関する先端的基礎研究の課題は、次に示した3分野が選定されている。(1)新素材・材料開発分野,(2)放射線化学・核融合関連分野,(3)高温照射技術・その他原子力関連分野。これら3分野のうち7研究課題がHTTRを用いた照射試験の有効性を調べるための予備試験を実施中で、これらの中から平成15年度から開始予定のHTTR照射試験を実施する研究テーマとして、(1)新素材・材料開発分野の中から次の3研究課題が選択されている。第1次(平成15年度)及び第2次(平成16年度)照射試験ホルダーに試験片を装荷した。(1)中性子転換ドーピングによる高温・SiC半導体創製の研究,(2)高温酸化物超伝導材料の照射による特性改良の研究,(3)耐熱セラミックス複合材料の照射損傷機構に関する研究。本報告書は、第1次及び第2次HTTR照射試験用ホルダーと装荷した試料に関する技術データーについてまとめたものである。
石川 法人; 末吉 哲郎*; 岩瀬 彰宏; 知見 康弘; 藤吉 孝則*; 宮原 邦幸*; 木須 隆暢*
Physica C, 357-360(Part.1), p.505 - 508, 2001/09
レーザーアブレーション法により作ったYBaCuO薄膜に、200MeV Auイオンを-45°の方向から照射し、傾いた柱状欠陥を試料中に導入した。照射前後に臨界電流密度の磁場角度依存性をその場測定し、さらにその磁場依存性を調べた。その結果、1~3Tの磁場領域においては磁束1本1本がそれぞれ柱状欠陥にピニングされるという描像よりむしろ磁束のbundleが柱状欠陥によってピニングされていると解釈した方がよいと結論づけることができる。
石田 武和*; 北村 健太郎*; 奥田 喜一*; 朝岡 秀人
Journal of the Physical Society of Japan, 70(7), p.2110 - 2113, 2001/07
被引用回数:3 パーセンタイル:27.5(Physics, Multidisciplinary)酸化物超伝導体における磁気相図の解明は、超伝導発現メカニズムを知るうえで重要な課題である。われわれは包晶反応を利用した高純度・高品質なYBaCuO結晶を育成し双晶境界を消去した単結晶を作製した。この結晶は異方特性が顕著な物質を理解するために不可欠な試料である。高感度な磁気トルク測定装置を用いた結晶のc軸に垂直方向に印加し、磁束格子融解下におけるイントリンシックピニングの特性を明らかにした。
Zhukov, A. A.*; de Groot, P. A. J.*; Kokkaliaris, S.*; Di Nicolo, E.*; Jansen, A. G. M.*; Mossang, E.*; Martinez, G.*; Wyder, P.*; Wolf, T.*; Kpfer, H.*; et al.
Physical Review Letters, 87(1), p.017006_1 - 017006_4, 2001/07
被引用回数:13 パーセンタイル:60.19(Physics, Multidisciplinary)Wolfら(独国)の作製したas-grownツインフリー単結晶と、朝岡ら(原研)の作製した酸素量を調整したツインフリー単結晶を用いて、高感度トルク磁気測定法により28Tまでの高磁場特性の評価を行った。この結果、超伝導発現機構を知るうえで重要な磁気相図をこれまでになく詳細に理解することができた。特に、高品質な単結晶を用いることにより新たに下部臨界磁場での履歴効果,明確なブラッグ-グラス転移の全体像などを把握することが困難になった。
村上 博成*; 朝岡 秀人; 堺 一男*; 伊藤 利道*; 斗内 政吉*
Applied Surface Science, 175-176, p.306 - 311, 2001/05
被引用回数:7 パーセンタイル:41.38(Chemistry, Physical)包晶反応を利用して作製した高品質なYBaCuO単結晶を用いて、超伝導発現機構を知るうえで重要な、状態密度変化を走査トンネル分光法で観測した。これまでYBaCuO単結晶の原子レベルでの完全性や、最表面処理の問題から測定が困難であった。われわれはSTM装置中の超高真空下、極低温下においてYBaCuOの表面劣化層を取り除き、原子レベルでフラットな最表面を作製した。B系酸化物超伝導結晶で得られた状態密度変化と似かよった結果を得ている。
石川 法人; 岩瀬 彰宏; 知見 康弘; 道上 修*; 若菜 裕紀*; 神原 正*
Journal of the Physical Society of Japan, 69(11), p.3563 - 3575, 2000/11
被引用回数:9 パーセンタイル:52.88(Physics, Multidisciplinary)酸化物超伝導体EuBaCuOy薄膜に1MeV~数GeVの広いエネルギー範囲に渡るイオンを系統的に照射し、低温における電気抵抗変化をその場測定した。低エネルギーイオン照射では弾性的はじき出しによる欠陥生成,高エネルギーイオン照射では初期イオン化による欠陥生成が支配的であることを強く示唆するデータを得た。照射後のアニール効果についても議論した。
Zhukov, A. A.*; Kokkaliaris, S.*; de Groot, P. A. J.*; Jansen, A. G. M.*; Mossang, E.*; 朝岡 秀人; Wolf, T.*; Gagnon, R.*; Taillefer, L.*
Physica C, 341-348(Part2), p.1027 - 1030, 2000/11
Wolfら(独国)の作製したas-grownの結晶と朝岡ら(原研)の作製した双晶を除却した単結晶を用いて、23Tの高磁場までの磁気特性を磁気トルク法により観測を行った。この結果、超伝導発現機構を知るうえで重要な詳細な磁気相図を得ることができた。高品質な単結晶を用いることにより各温度にわたり、これまでに報告のない新たなフィッシュテールを含むシャープなピークが観測されている。
石田 武和*; 奥田 喜一*; 朝岡 秀人
Physica B; Condensed Matter, 284-288(Part1), p.727 - 728, 2000/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Condensed Matter)酸化物超伝導体YBaCuO結晶の双晶境界を消去した高純度、高品質単結晶を用いて、HCにおける磁気測定を行った。磁気トルク測定により磁束格子融解転移がH//Cと同様にHCでも観測された。しかしながら重要なことは、本質的ピニングが存在しない領域においても磁束格子のソフトニングが見られたことであり、本質的ピニングとはむしろ独立した一次相転移について議論する。
石川 法人; 知見 康弘; 岩瀬 彰宏; 若葉 裕紀*; 道上 修*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 164-165, p.384 - 390, 2000/04
被引用回数:1 パーセンタイル:20.05(Instruments & Instrumentation)酸化物超伝導体EuBaCuOy薄膜に90MeVのIイオンを照射した。室温で照射すると、柱状欠陥ができるが、100Kで照射した場合に生成される柱状欠陥と比較して直径が小さくまた損傷度の大きいものが生成されることがわかった。
石田 武和*; 奥田 喜一*; 朝岡 秀人
Journal of Low Temperature Physics, 117(5-6), p.1387 - 1391, 1999/12
包晶反応を利用した高純度、高品質なYBaCuO単結晶を用いてHCにおける磁束格子融解転移について交流磁化率の測定を行った。HCにおいても同様に一次相転移が観測された。イントリンシックピンが存在する低温域にみられる不可逆曲線を決定した。しかしイントリンシックピンが存在しない温度領域でも融解転移が観測されたことから、HCにおいてイントリンシックピンが一次相転移が起こる本質ではないと考えている。
岡安 悟
NIFS-MEMO-27, p.113 - 129, 1998/03
今後の核融合研究において不可欠な次世代の核融合炉用の超伝導コイルの設計・製作の基盤となるような先進超伝導材料の研究調査の一環として、酸化物超伝導体を取り上げ国内外の現在の研究開発状況の調査を行う。そのうち照射による超伝導特性への効果について調査しまとめたものである。
石田 武和*; 奥田 喜一*; 朝岡 秀人; 数又 卓生*; 野田 健治; 武居 文彦*
Advances in Superconductivity IX, p.511 - 514, 1997/00
包晶反応を利用した高純度・高品質な酸化物超伝導体YBaCuOの双相境界を制御し、c軸方向並びにa-b軸方向の磁気トルク測定を行った。YBaCuO単結晶はYOるつぼを使用し、不純物の混入を防ぎ、酸素量は550C5atmの酸素アニーリングを行うことによりx=7.00の試料を得た。一方向にのみ存在する双相境界部を用い、磁気トルク測定を行った結果、双相境界においてシャープな磁束ピニングを示すピークを観測するとともに温度変化に対応する双相境界部のピニング特性を明らかにした。
朝岡 秀人; 数又 幸生*; 武居 文彦*; 野田 健治
Physica C, 279(3-4), p.246 - 252, 1997/00
被引用回数:2 パーセンタイル:20.24(Physics, Applied)フラックス法により、仕込みYBaCuO:フラックス比の割合を変化させ、YBaCuO結晶育成を行った。その結果、仕込みYBaCuO:フラックス比におけるフラックスの割合が減少するにつれてYBaCuO結晶中の空孔が増加し、これにより臨界電流密度Jcが高くなるという結果を得た。従来、YBaCuO結晶におけるピンニングセンターとして、酸素欠損、双晶面、粒界、欠陥、YBaCuO粒子等が研究されているが空孔に注目した研究はほとんど行われていない。
小林 典男*; 西嵜 照和*; 小野寺 康明*; 朝岡 秀人; 武居 文彦*
Chinese Journal of Physics, 34(2-II), p.514 - 521, 1996/04
高品質なYBaCuO単結晶の磁化を詳しく測定した結果、不可逆曲線上に小さな磁化の飛びが観測された。飛びを示す温度の磁場依存性や角度依存性から、この飛びはIBMやアルゴンヌのグループが主張している1次相転移の証拠ではないかと考えられる。抵抗ヒステリシスは今までも観測されていたが、熱力学量である物理量で測定されたのは初めてである。
三箇山 毅*; 石田 武和*; 奥田 喜一*; 朝岡 秀人; 数又 幸生; 野田 健治; 武居 文彦*
Advances in Superconductivity VIII, 0, p.571 - 574, 1996/00
YBaCuO単結晶におけるKim型臨界状態を複素帯磁率により見い出すことができた。YBaCuO単結晶はYOるつぼを用い育成し、550C 5atmの酸素アニールを施した。得られた単結晶は|X|において、シャープなピークを示し、均一な超伝導相であることが確認された。帯磁率はHdc+Hac sin wtの磁場の中、温度変化に伴う測定を行った結果、Kim型モデルとの非常によい一致をみた。このことは単結晶における双相がweak linkとしての性質を示しKim型臨界状態が現われたと考えられる。
石田 武和*; 川又 修一*; 奥田 喜一*; 朝岡 秀人; 数又 幸生; 野田 健治; 武居 文彦*
Advances in Superconductivity VIII, 0, p.189 - 192, 1996/00
YBaCu単結晶におけるc軸異方性について磁気トルク測定を行った。単結晶はYOるつぼを用い、るつぼ材からの不純物の混入を防ぎ、550C 5atmの酸素アニールを行い、双相が存在するものの高質品なYBaCuO単結晶を得た。外部印加磁場・温度一定のもと、c軸と外部印加磁場との角度に伴う磁気トルクを測定した結果、有効質量モデルに基づき異方性パラメータ=√m/m~6を得た。また有効質量の異方性とイントリンシックピンによると考えられる磁気トルク安定点が=90°に現れた他、=0°においても安定点となることを新たに見い出すことができた。
西嵜 照和*; 小野寺 康明*; 内藤 智之*; 朝岡 秀人; 武居 文彦*; 小林 典男*
Czechoslovak Journal of Physics, 46(SUPPL.S3), p.1595 - 1596, 1996/00
酸化物超伝導体YBaCuO単結晶を用い、c軸方向からの磁場と温度を変化させ磁気特性の測定を行った。磁束格子メルティング曲線Hm(T)の直下で臨界電流密度Jのシャープなピークが観測された。このピークは不可逆曲線Hirr(T)とHm(T)が一致するとき最も大きく見られる。ピーク以下の温度に関してJ(1-T),m=5.5で示されコレクティブピンニング理論とのよい一致を示した。
朝岡 秀人; 数又 幸生*; 武居 文彦*; 野田 健治
Czechoslovak Journal of Physics, 46(SUPPL.S3), p.1723 - 1724, 1996/00
不定比酸素を持つYBaCuO結晶は酸素の増加に伴う正方晶系から斜方晶系への相転移の際に双晶となる。双晶境界が量子化磁束に対していかなる影響を及ぼすかについてさまざまな議論がなされているが、比較的微小な影響である上に、双晶境界のない高品質な単結晶を得ることが困難であるため明確な結論が得られていない。そこで液相量が十分に存在する固液共存状態から育成された最も高品質な結晶の双晶境界を除去し、双晶領域との比較検討を行った。その結果、磁化ヒステリシス曲線において温度の変化に伴う著しい変化を観測することに成功した。